大型案件で関係者が多くなるほど、過去事例や製品知識が担当SE・営業個人の頭の中に蓄積され、ファイル自体は共有されていても「どこに何があるか」が共有できていない――。多くの企業が直面するこの課題に対し、調査・提案・レビュー業務を中心に、生成AI活用を「個人の工夫」から「組織で共有できる資産」へとシフトさせる取り組みを進めたのが、従業員約8,000名規模の東証プライム上場大手SIerです。同社はシンシアリーとともに、生成AI活用の組織化に向けて以下4つの取り組みを並行して展開しました。① 生成AI活用レベル診断(個別・組織レポートの配布)② 業務棚卸〜業務マッピングの作成・ディスカッション支援③ プロンプトテンプレート作成に向けたフィードバック伴走④ 全社向けM365 Copilot活用ハンズオン研修の設計・実施その結果、製品探索時の技術調査工数を67%削減し、かつAIが調査結果を咀嚼することで分かりやすい回答を得られるようになりました。さらに、推進者が作成したプロンプトがブラッシュアップされ、テンプレートやエージェントとして部署で配布されるなど、プロンプトを「個人の工夫」から「組織で共有できる資産」へと押し上げる仕組みが整いつつあります。「調査・提案・レビュー業務を中心に、生成AI活用を個人の工夫から組織の型へ」――同社の取り組みについて、ご担当者にお話を伺いました。大型案件で「どこに何があるか」が共有できなかった「個人の工夫」を「組織の型」に変えるための4つの取り組み製品探索時の技術調査工数を67%削減プロンプトを「個人の工夫」から「組織で共有できる資産」へプロンプトの組織配布と文化醸成が、活用の地力を底上げする大型案件で「どこに何があるか」が共有できなかった―ご支援開始前、貴社ではどのような課題を感じていらっしゃいましたか?当社では大型案件において関係者が多く、生産性向上や品質向上の両面で課題を抱えていました。情報サービス業として、調査・提案・レビューといった業務はプロジェクトの上流から下流まで広く影響します。だからこそ、関係者が増えるほど属人化が発生するだけでなく、情報共有の難しさも顕在化し、生成AIによる業務効率化への期待が大きくなっていきました。―どのような点が、特に難しかったのでしょうか?主に、2つの構造的な課題がありました。一つ目は、過去事例や製品知識が、担当SEや営業の頭の中に蓄積されてしまっていたことです。 属人的な"勘所"に依存している状態では、生成AIに正確な業務文脈を渡すことができず、AIから返ってくる答えも限定的なものに留まります。二点目が、ファイル自体は共有されていても、「どこに何があるか」までは共有できていなかったことです。 情報の所在自体が暗黙知となっている状態は、組織として知見を再利用できているとは言えません。生成AIを業務で使えるレベルに押し上げるためには、活用以前の段階で組織の知見を見える化する必要があると感じていました。「個人の工夫」を「組織の型」に変えるための4つの取り組み―シンシアリーからはどのような支援を受けたのでしょうか?シンシアリーが提供してくれたのは、現状診断から実装、文化醸成までを一気通貫で支える伴走支援です。「Copilotの操作方法を教える」のではなく、「個人の工夫として点在している活用を、組織の型に変えていく」という観点で、4つの取り組みを並走させていただきました。① 生成AI活用レベル診断の実施。個人・組織それぞれのレベルを可視化するための診断を実施し、結果を個別レポート・組織レポートとして配布いただきました。出発点を客観的に把握できたことで、「どこから手をつけるべきか」「どの層への支援が薄いか」といった議論が、感覚ではなくデータに基づいて行えるようになりました。② 業務棚卸〜業務マッピングの作成。調査・提案・レビューといった業務を棚卸しし、活用対象業務を整理する業務マッピングシートを一緒に作成いただきました。ディスカッション形式で進めていただいたことで、生成AIが入る業務/入らない業務の線引きが現場目線で言語化され、組織内で共通認識を持てる状態になりました。③ プロンプトテンプレート作成のフィードバック伴走。推進者が作成したプロンプトに対して、シンシアリーから具体的なフィードバックをいただきながらブラッシュアップを重ねました。一度作って終わりではなく、繰り返し改善を回せる仕組みとして支援いただいたことで、出力品質が安定し、テンプレートとして他者に渡せる状態にまで仕上がっていきました。④ 全社向けM365 Copilot活用ハンズオン研修。推進者・部門メンバーへの深掘り支援に加えて、全社向けのCopilot活用ハンズオン研修を設計・実施いただきました。実務で使える形でCopilotに触れる機会を全社員に提供することで、活用文化の醸成と裾野の広がりを同時に進めていただいたわけです。これら4つは、独立したプログラムではなく、互いに補完し合う設計になっていることで、組織への定着が早まりました。①〜③(診断・業務マッピング・プロンプト整備)の"組織化"と、④(全社ハンズオン)の"文化醸成"を同時に進めることで、一部の推進者だけが先行する局所最適ではなく、組織全体が同じ方向に動き出す状態を作っていただきました。製品探索時の技術調査工数を67%削減―取り組みの結果、どのような定量成果が得られましたか?業務時間の大きな短縮として現れています。特にインパクトが大きかったのは、製品探索の領域です。製品探索時の技術調査工数を67%削減し、かつAIが調査結果を咀嚼することで分かりやすい回答を得られるようになりました。―この数字の背景で、業務の中ではどのような変化が起きていたのでしょうか?製品探索は、これまで担当者の経験と勘に依存しがちな領域でした。「この製品ならこの観点で比較する」「あの分野ならまずこの資料に当たる」――そうした属人的な"勘所"が業務の質を支えてきた一方で、人によって調査の深さや方向性にばらつきが出やすい領域でもあったということです。それが、業務マッピングで対象業務の輪郭が共通認識になり、プロンプトテンプレートで調査の型が整ったことで、誰がやっても調査の方向性が安定し、必要な情報に早く辿り着ける状態になりました。67%削減という数字は、業務マッピングとプロンプトテンプレートを組み合わせて生まれた成果と捉えています。プロンプトを「個人の工夫」から「組織で共有できる資産」へ―取り組みを通じて、組織の側にはどのような変化が起きましたか?最も象徴的だったのは、プロンプトが「個人の工夫」から「組織で共有できる資産」へと位置づけが変わったことです。具体的には、推進者が作成したプロンプトをシンシアリーの伴走でブラッシュアップし、それをテンプレート集として整備することで、テンプレートやエージェントの形で部署に配布できる状態にまで仕上げました。これは「使える人だけが使うAI」から「組織として活用するAI」へと、生成AIの位置づけ自体が変わったことを意味しています。その背景には、4つの取り組みが順を追って組織変化を積み重ねたという流れがあります。まず、生成AI活用レベル診断で個人・組織それぞれの活用度合いと課題を客観データとして把握できました。次に、業務棚卸・業務マッピングで活用対象業務を組織内で言語化し、共通認識を形成。そして、プロンプトテンプレート集を整備することで属人的な工夫が組織の資産として配布できる形へと変わり、全社向けハンズオンを通じて活用文化が組織全体に広がっていきました。シンシアリーに伴走いただいたのは、この一連の設計と各局面でのフィードバックです。「個人の工夫」を「組織で共有できる資産」に変えるという観点を一貫して設計してくださったことが、結果として組織の変化に繋がったと感じています。プロンプトの組織配布と文化醸成が、活用の地力を底上げする―シンシアリーとの取り組みを通じて、プロンプトの取り扱いはどのように変わりましたか?支援を通して推進者により作成されたプロンプトをブラッシュアップでき、テンプレートやエージェントとして配布したことで部署的に利用できるようになりました。―支援期間全体を通じて、組織にはどのような変化が積み重なっていきましたか?支援期間を通してCopilotの精度が高まり、新しい機能を全社向けに紹介するなどしてCopilot活用の文化醸成に向けて進めることができました。日鉄ソリューションズ社では、生成AI活用の組織化に向けた4つの取り組みを通じて、製品探索時の技術調査工数の67%削減、プロンプトの組織配布、Copilot活用文化の醸成といった成果が生まれています。同社の成功要因は、以下の3点にあります。「使い方」の習得にとどまらず「個人の工夫」を「組織で共有できる資産」に変える観点で設計したこと診断・業務マッピング・プロンプト整備・全社ハンズオンの4つを並行して進めることで、一部の推進者だけに偏らない全社的な変化を生んだこと業務密着の伴走支援を通じて、プロンプトを継続的にブラッシュアップできる仕組みを社内に根付かせたこと社内の生成AI導入や活用にご興味がある方は、まずはこちらからお気軽にご相談ください。